ジョン・M・キャロル著、倉田明子、倉田徹訳『香港の歴史 東洋と西洋の間に立つ人々』(明石書店)の書評を書きました。
https://book.asahi.com/article/13718761
「東洋と西洋の間に立つ人々」という副題に惹かれて手にした本書。はじめに、にあたる「歴史の中の香港」からぐいぐい引き込まれました。書評では紙幅が限られてるため言及はしませんでしたが、「香港の中国とイギリスの歴史的関係から、その遺産として」うまれた「ユーラシアン」(ヨーロッパ人男性と華人女性の間に生まれた子供たち)についての記述がとても興味深く、古くからある今日的な課題に直結するとくらくらしました。
また、「植民地の行政担当者に大いに影響されている」香港の歴史において、ほとんど唯一の「香港の華人からも協力と意見を得ようと真剣に努力した」第八代総督ジョン・ヘネシーには胸が熱くなりました。
巻末に収録された歴代香港総督・行政長官一覧、名前の表記が英字綴りと漢字の"バイリンガル"表記であることも香港"ならでは"という感慨を催させて非常に興味深いです。
倉田明子さん、倉田徹さんによる訳者あとがきを読むだけでも、香港のややこしい豊かさが伝わります。訳者の判断でつけられた「東洋と西洋の間に立つ人々」という副題にこめられた意味が胸をうちます。
現在、明石書店さんのウェブサイトでこのあとがきは全文読めるのでぜひともご一読をおすすめします!
https://www.akashi.co.jp/smp/book/b516077.html
さて、今、わたしたち日本人は、香港の人々にどう寄り添えるのか?