カロリン・エムケ著、浅井晶子訳『イエスの意味はイエス、それから…』(みすず書房)の書評を書きました。担当編集者さんがつけてくれた「自分の正義は他者にも『誠実』か」という問いを忘れずにいたいです。
https://book.asahi.com/article/13989878
エムケといえば、『憎しみに抗って 不純なものへの賛歌』というタイトルをはじめて見たとき、それだけでもう心躍ったことが忘れられません。
浅井晶子さんによる端正な日本語をとおしてエムケの言葉と出会うたび、大多数の人たちの「基準」にあてはまらない、その意味で、はじめから立場の弱い者たちをますます孤立させるような言葉が平然とまかりとおる社会で、憎しみの奔流に呑み込まれないためには、だれかと安易に凭れ合うための言葉ではなく、孤独をおそれず、どんなに時間がかかったとしても、私自身の言葉によって「より精確に思索する」重要さを思い知らされます。