田尻芳樹、秦邦生〈編〉『カズオ・イシグロと日本 幽霊から戦争責任まで』(水声社)の書評を書きました。
https://book.asahi.com/article/14092239
同時期に刊行されたヴォイチェフ・ドゥロンク著『カズオ・イシグロ 失われたものへの再訪 記憶・トラウマ・ノスタルジア』に詳しく触れられませんでしたが、この本を翻訳なさった三村尚央さんによる「『わたしたちが孤児だったころ』における故郷(ホーム)への違和感(アンビバレンス)と失われた母語」は、『カズオ・イシグロと日本 幽霊から戦争責任まで』に収録された数々の刺激的な論文の中でも、私が個人的に最も興奮しながら拝読した一篇でした。
私も引き続き、自分と日本の関係を問いながら、日本語で経験しなかった記憶を日本語で記述するという試みを楽しみたいと思わせてくれる2冊と出会えてうれしかったです。2021年も、書評を書きながら学んでゆきます。