🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

📚 越境が生んだ特権の禍々しい光

松田ヒロ子著『沖縄の植民地的近代 台湾へ渡った人びとの帝国主義的キャリア』(世界思想社)の書評を書きました。パイワン族石垣島の刺青の模様をあしらったカバーや、タイトルの字体が味わい深くて、うつくしい佇まいの本です。

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https://book.asahi.com/article/14375871

ハワイ大学出版会から刊行された書籍が日本語に"なった"一冊。著者あとがきには「英文で書き上げた単著を日本語で書き直すというのは、一度編み上げたセーターの糸をみずから解き、解いた糸に新しい糸を足して異なる網目のセーターを編み直すような作業に思われた。それは、新しい糸で一から編み上げることよりもずっと大変なことのように思えた」とある。この現代的意義をつよく備える貴重な本を、日本語の読者にも届けてくださった著者と出版社に感謝したい。

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この書評が掲載された同日の朝日新聞「ひもとく」は、阿部小涼さんによる「沖縄 闘いの根」をめぐる三冊が。

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「日本や日米を眼差す闘いの根は、沖縄が内在化した植民地経験の批判にむかう」「沖縄の闘争は、闘争を脱植民地化する闘いでもある」。