🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

✏️「日本語の住人として」掲載されました。

9月4日、毎日新聞文化面第一日曜日にて、斎藤幸平さんの「分岐点、その先へ」と交互に連載中「日本語の住人として」の第3回めが掲載されました。

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「あなたは李良枝をとおして自分自身を語ろうとしているに過ぎない」。小説に先立って書き上げた修士論文を読んだ指導教官たちからの叱咤を激励と受けとめた日々から、今もそんなに遠くにはいない気がするのはなぜだろう。

李良枝を再読するたび、私の中の小さな希望の火花は蘇る。ひょっとしたら、いつか誰かが、私の小説をとおして、彼自身について、彼女自身について、語られずにいられなくなるかもしれない? そう夢想することで、書く自分を焚きつけてきた。今は少し心境が変わった。次は、次こそは、二つ以上の国や文化を行き来しながら育ったという出自や境遇を重ね合わせさえすれば共感できた気になってしまう程度のものを書くのはよそう。共感しやすさだけが、小説の魅力ではない。それも、李良枝から教わったこと。さあ、『李良枝セレクション』の刊行ももうじきです。そして、毎日新聞のウェブサイトに「日本語の住人として」のページがあるのをさっき知ったばかり。剪り絵風の朗らかな赤のバナーが素敵で嬉しい。

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