🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

私に備わりつつある"発言力"を殺さぬための覚書

このたび、日本語教育の文化発信部門にて文化庁長官から表彰されることとなりました。

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「国民国家」ならびに「国語」の権威を疑い、抗うことで、私は自分自身の言葉を取り戻しました。そんな私が、国の機関である文化庁から表彰されるのは、白状すれば、複雑な気持ちです。

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受賞の知らせを受け、真っ先に思い浮かんだのは、今、着実に増えつつある、日本に根をおろす外国人やその子どもたちの前に広がる道を歩きやすくするために、わたしは、わたしに備わりつつある"発言力"を、存分に生かさねば、ということでした。

というのもわたしは、そのことのために日々尽力なさっている人々を大勢知っています。

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国の機関が、作家であるわたしに注目し、わたしの作品をとおして複数の文化をルーツに持つ子どもの可能性を見出してくださるのならば、わたしはこの機会に乗じて、"かつてのわたしのような子どもたち"や、その"保護者たち"がこの国でよりよく生活してゆくために日々努力なさっている方々の具体的な提言が、今後もっと、国や地方自治体にまっとうに聞き入られるよう切に望んでいると声を大にして主張します。

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こんなわたしを、この賞に推薦してくださった文化庁国語課の皆々様に感謝を込めて。

日本人にうまれなかったために、わたしは国語という枠を越えた日本語という言語のふところの大きさを知りました。そしてそのおかげで、作家になることができました。これからもわたし、病める時も健やかなる時も常にわたしを支えてくれた日本語の豊かさを、より多くの方々に感じてもらえる創作を志します。

Life Goes On…👣

2019年3月12日
温又柔

 

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追伸、表彰式では国家斉唱もあるそう。当日、両親には歌えなかったのに、祖父母はじょうずに歌ってくれたあの歌を、どんなふうに聞いていよう。いっそお腹の底からうたおうか。いずれにしろ、わたしに期待し、わたしを応援してくださる方々に軽蔑されない態度を貫きたい。わたしに備わりつつある"発言力"を殺さぬためにも。

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「国語」から旅立って エッセイ更新されました。

新曜社ウェブサイトにて連載中の、「国語」から旅立って 第5回 わたしの国はどこにある? が更新されました。

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上海にいた20才のときの、国と国と国の真ん中で迷子になり、おろおろしていた頃のことを書きました→

https://www.shin-yo-sha.co.jp/yorimichipensees/wen5/ 

ここでのお知らせを忘れて!ましたが、高校時代について書いた 第4回 私の中の彼女たちの姓名 も→

https://www.shin-yo-sha.co.jp/yorimichipensees/wen-4/

 

ホッとしたのもつかのま、次で最終回となる第6回め分原稿を、ただいま鋭意準備中。連載終了後は、よりみちパン!セシリーズとして5月に刊行予定です。どうか続報をお待ちくださいませ🌱

 

我用日語哭也用日語笑🌱

台湾の雑誌「鏡週刊鏡到底」でロングインタビューを受けました。

【温又柔專訪一】大家都說日本人親切 她最知道日本人有多排外

https://www.mirrormedia.mg/story/20190104pol002

インタビュアーは、わたしが台湾の同世代の作家でもっとも敬愛するおひとり、陳又津さん!

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能透過她的文章如此被介紹給台灣讀者,實在是無上的幸福😭 

このご企画は、拙著「來福之家」「中間的孩子們」の翻訳者である郭凡嘉さんのご協力無しには成り立たちませんでした。どれだけ語学力に優れていても、わたしのややこしいニホン語は訳しづらいはず。わたしの一言ひとことの芯を迅速に掴み、インタビュアーである又津さんに的確に通訳してくださった凡嘉さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

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「我住在日語」の黄耀進も含め、優れた翻訳家たちや、又津さんといった敬愛する方々が、わたしとわたしのもうひとつの母国にいる読者たちと繋げてくださることを、ほんとうにありがたく思います。非常感謝🥰

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2019年は、わたしの住処であるこのニホン語に、もっと深く、確かな"台湾"を鳴らしたい。台湾に限らず、繁体字をとおして温又柔を読む讀者のことを意識しながら、ニホン語を書きたい。がんばるよ。"我用日語笑也用日語哭"というチューゴク語が大好きだ。欲をいえば、"我用日語哭也用日語笑"のほうがもっと好きかな? だって最後には笑いたいもんね🕊

https://youtu.be/wQS5435xH_A

這些國家都是你我的母國,站在這些母國與母國的中間點,從這裡為起點,我們可以前往任何地方。

12・26 毎日新聞夕刊「私だけの東京」でとりあげられました

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 記事の中にもありますが、外国籍を持ちつつ人生の九割以上を日本の東京で過ごした私に、あなただけの東京を聞かせてほしい、と取材依頼があったときは、ちょっとじんとした。取材中も、"当事者"であるわたし以上に、東京は、日本は、すでに日本人だけの社会ではない、ということを記者の方がよく意識し、そのことがもたらす豊かさを記事に込めたいと努めているようすが、たのもしかった。だからこそ、わたしの言葉をこんなふうにまとめてくださったこの記事は、とても温かい。

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「異なる背景を持つ人たちをノイズとして排除するのではなくて、東京の豊かさとして、多くの人が感じられるようになれればと考えています。」

 ちなみに田中優子さんの「江戸から見ると」と並んでるのもうれしかった。

「彼らは社会の役割とは別の複数の自分を連ごとに使い分けていた。(…)自他の内面の多様性への注目は、人間の可能性を広げる」。

 さすが田中先生!(というわたしは元法政大生)。

🍚長篇小説「魯肉飯のさえずり」(アンデル)🍚

 おはなしの主人公は、わたしと同世代の女性とその母親。ふつうの人生をふつうに歩んでいたつもりが、ささやかな違和感がつみかさなり、みしみしと心身が軋んでゆく娘と、日本という異郷で最愛の娘に必死でむきあってるものの、なんとなくズレてしまう母親。

 ず〜っと書きたいと温めてきた小説の執筆をとおして、"小さな文芸誌"こと「アンデル」(中央公論新社)に約半年間参加させてもらえたことは、わたしの2018年の最もしあわせな出来事のうちの一つでした!

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 デュフォ恭子さんによる魅惑的な表紙画。最終号のテーマは「パーティー」! 複雑な赤がじんわり沁み入ります。

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"物語は

本を閉じてから

もう一度、始まる。"

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 「アンデル」はおしまいですが、「魯肉飯のさえずり」はまだまだ続きます。作者以上にこの小説の可能性を信じ、親愛の情をもって私を励まし、共に歩んでくださる編集者さんたちに恵まれた幸運を必ず生かさなくちゃ。

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目標は2019年内刊行…言ったぞ、わたし!言ったからには、やるぞ!💪半年間、お読みくださった方々、どうかこれからも見守っていてくださいね。

🛫『空港時光』(河出書房新社)🛬

2018年の出来事でもっとも喜ばしかったことの一つは、『空港時光』が河出書房新社さんより刊行されたこと。

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くまざわ書店南千住店の店長さんがつくってくださった栞🔖は宝物。

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なんと飛行機専門誌の月刊エアライン9月号にとりあげられたのも、とても嬉しかった✈︎ 「空港を行き交う人が内包している高揚感、不安、心細さ、期待を疑似体験しながら、読者もまた、自らの空港の風景を追憶するに違いない」。

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台湾と日本。ふたつの国と國の真ん中を行き来しつつ、帰国と再入国を繰り返してきた。どちらか一つを、自分の母国として選ばなければならないなら、いったいわたしはどうすれば…揺らいでいた時期に羽田空港の到着ゲートで英語、中国語、韓国語で東京に到着した訪日客を歓迎する文字の中にあった

 

おかえりなさい

 

というひらがなを目にして、ここだ、と思った。

我住在日語(わたしは日本語に住んでいる)んだ。

はじめてそう感じたときからずっと書きたくて、なかなか書けずにいた一篇。

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この作品を含む10話の小説のみならず、2012年に書いた紀行文「音の彼方へ」を併録するというほかでもない著者である私にとって最良のかたちですばらしい装幀の本にしてもらえてほんとうにしあわせでした。

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いよいよ、韓国語をおぼえはじめて…「저기 일본」ではなく「잘 오셨어요」だったんだなぁ、といまさら!鉛筆で、書いておこう。てへ。

というわけで、この次は、モアベターよ©️小森のおばちゃま♡

多和田葉子さんとの対談。「移民」と日本の純文学について。

現在発売中「文學界1月号」にて、多和田葉子さんと対談しました。

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多和田葉子さんの新刊「穴あきエフの初恋祭り」刊行を記念して、光栄なことに、わたしがお話させてもらうという機会を授かりました。

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多和田葉子さんは私が最も敬愛する作家のおひとりで、対談のお話をちょうだいした瞬間はほんとうに飛びあがる思いでした🦋

はじめは緊張したものの、あこがれの方はとってもチャーミングで、今、この時代に、日本語で書く喜びと可笑しみ、移動やさまざまな境界線を跨ぐことで生じる言語の混淆や、複数のことばが飛び交う時空間で書く楽しみ、そして、文学に関われること自体が既にひとつの特権である…と語らううち、緊張はとてもしあわせな興奮に変わりました。

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対談から数日後、満谷マーガレットさんが翻訳なさった『献灯使』が全米図書賞翻訳部門を受賞という朗報に胸が高鳴りました。満谷さんの英語に生まれ変わった多和田さんのニホン語を愛読する仲間が地球にちらばってると思うとしあわせです。

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編集部によって、「移民」は日本語文学をどう変えるか? と題された対談。奇しくも雑誌が発売された翌日未明、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)が採決。労働力補充のために外国人を利用したい政府の思惑に胸が張り裂ける思いです。

私は、自分を「移民」の代表だとは決して思いません。「移民」といっても、いろんなひとがいるからです。たとえば、自分は日本人の代表なのだというそぶりで、自分の意見イコール日本人の意見として語るひとがいたら、うさんくさいでしょ?

しかし、定住者から永住者になる以前の私は、3歳半から28歳までの約25年間、「家族滞在」の在留資格で日本に住んでいました。いま、私は、そのように育った自分自身を「移民」だと思っています。私は、私たちは、ここにいます。

結局のところ、小説の形で私が表現したいのは、"国民国家"という単位に束ねられた共同ファンタジー、そのファンタジーを唯一のリアルと信じ込む意識からぽろぽろこぼれ落ちるもののリアリティだ。私は私の"Immigrant Song"をニホン語で紡ぎたいのです。

くりかえします。

ただし私は、「移民」を代表しようとは思いませんし、そもそもそんなことは不可能です。ただ、私はここにいる。その私は、「家族滞在」の資格で日本で育った「移民」なのだと、ただそれだけを言いたい。

そうであるからこそ、私は何度でもうったえたい。

日本も、日本語も、日本人だけのものではない。

けれども、それを主張している時の私は、この国で生きている、生きることになった日本人とはみなされない、すべての誰かを代表しているわけではない。

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もう、忘れちゃったんだね。それとも、はじめから、とるにたらないことだった?

でも、私は、少なくとも私自身は、あの悲しみをちゃんと覚えてる。

私が書いてきたことは、そしてこれから書こうとしていることは、対岸の火事などではない。あなたの、あなたたちの足元でめらめらと燃えてる炎。権威を自負する純文学よ、"移民"の私を、日本文学の国際化や、日本語が魅力的であると宣伝する材料として、決して飼い慣らさないでね。私の志はそんなに可愛げないよ。