🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

📚 越境が生んだ特権の禍々しい光

松田ヒロ子著『沖縄の植民地的近代 台湾へ渡った人びとの帝国主義的キャリア』(世界思想社)の書評を書きました。パイワン族と石垣島の刺青の模様をあしらったカバーや、タイトルの字体が味わい深くて、うつくしい佇まいの本です。

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https://book.asahi.com/article/14375871

ハワイ大学出版会から刊行された書籍が日本語に"なった"一冊。著者あとがきには「英文で書き上げた単著を日本語で書き直すというのは、一度編み上げたセーターの糸をみずから解き、解いた糸に新しい糸を足して異なる網目のセーターを編み直すような作業に思われた。それは、新しい糸で一から編み上げることよりもずっと大変なことのように思えた」とある。この現代的意義をつよく備える貴重な本を、日本語の読者にも届けてくださった著者と出版社に感謝したい。

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この書評が掲載された同日の朝日新聞「ひもとく」は、阿部小涼さんによる「沖縄 闘いの根」をめぐる三冊が。

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「日本や日米を眼差す闘いの根は、沖縄が内在化した植民地経験の批判にむかう」「沖縄の闘争は、闘争を脱植民地化する闘いでもある」。

 

 

🍎「日本語に住みついて」第3回が掲載されました

信濃毎日新聞で連載中「思索のノート」第3回めの掲載紙が届きました🍎

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とある空想ばかりしてた子どもの頃の話。原稿を受け取った担当編集者さんから、クシシュトフ・ キェシロフスキ監督『ふたりのベロニカ』を思い出した、と言われてすごくうれしくなった1篇です🍎🍏

きたしまたくやさんが描いてくださった「手紙の木」。子どものとき、空想の世界につながる秘密の郵便ポストがあったらなぁ、と思ってたけどこんな木の根元にあったのかも?! と空想がまたはかどる…!

📚 他者と共にいるために

佐藤=ロスベアグ・ナナ編著『翻訳と文学著者』(みすず書房)の書評を書きました。

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https://book.asahi.com/article/14349880

書評内でも触れましたが、アイヌ文学者・鳩沢佐美夫の「自己構築」をめぐる編著者の論考「証しの空文ー鳩沢佐美夫と翻訳」に大変な刺激をうけました。

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錚々たる執筆陣。個人的には、管啓次郎さんの「詩、集合性、翻訳についてのノート」も、メモを引きたくなる箇所ばかりで、読みながら心が躍動しました!

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本書の書評を執筆するにあたって、私はつくづく「世界から届く言葉に育てられて」るなと実感しました。

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藤井光さんが編者をつとめた『文芸翻訳入門 言葉を紡ぎ直す人たち、世界を紡ぎ直す言葉たち』(フィルムアート社)を引っぱりだしたところ、やっぱりすごくいい!

🌱異なる言語を生きる隣人のことばを、私(たち)にわかることばへと創りなおすために日々尽力なさる方々や、そのすべての試みに敬愛をこめて🌱

 

🌷バースデー・ドネーション🌷

 バースデー・ドネーションとは、誕生日を迎えたひとが、そのお祝いを友人や知人にしてもらう形で、支援したい団体に寄付をする活動です。こういう活動があるとはじめて知ったときから、いつか挑戦してみたいと思ってました。

 そんな今日、5月14日は、私の誕生日。

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 30カ国以上にルーツをもつ子ども・若者のための日本語教育、学習支援、自立就労支援、遠隔地教育支援等を行う「NPO法人 青少年自立援助センターYSCグローバル・スクール」を応援したくて、バースデー・ドネーションをたちあげました🎂

 今日から5月18日までの約5日間、寄付を募ります。

 何卒、以下の詳細をご覧くださいませ。

https://syncable.biz/campaign/1658/

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 YSCグローバル・スクール代表の田中宝紀さんと。

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 こちらにはわたしたちの対談も。

 https://fujinkoron.jp/articles/-/2985

 場を設けてくださった「婦人公論」の落合美晴さん、ライターの和田靜香さん、姉妹みたいと評判の素敵な写真を撮影くださった中央公論新社写真室の武田裕介さんに感謝❣️

 

 

🍎「日本語に住みついて」第2回が掲載されました

信濃毎日新聞で連載中「思索のノート」第2回めの掲載紙が届きました🍎

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お隣の「文化の森へ」の投書、「出所者を支える」がとても興味深い。筆者の伝田勝洋さん曰く再犯で逮捕される出所者は「(前科のある)自分を誰も相手にしてくれない」「家族も世間から嫌な目で見られており、家族から見放されてる」という方が少なくないとのこと。そんな「出所者たちは一日も早く立ち直り社会の一員として恩返ししたいと思っています。社会の側も彼らを理解して手を差し伸べてほしい」という文章に色々考え込まされます。

 

🍎次回も、来月の第二日曜日に🍎

📚失われた記憶の居場所をつくる

瀬尾夏美著『二重のまち/交代地のうた』(書肆侃侃房)の書評を書きました。

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https://book.asahi.com/article/14340812

 被災後、陸前高田へ移り住んだ瀬尾さんが、ツイッターで刻々と綴った復興への“あわいの日々”を記した前著『あわいゆくころ 陸前高田、震災後を生きる』(晶文社)とともに、行き場を失った記憶の住処を、その記憶の輪郭をなるべく歪めずに可能な限りのびやかなかたちで、いまこの瞬間の中に回復しようと努める瀬尾さんやかのじょの誠実な仲間たちの試みには、いつも心が洗われます。

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 書評では触れられませんでしたが、小森はるかさんと瀬尾さんの映画『二重のまち/交代地のうたを編む』も、ほんとうにすばらしいです。詳しくは、ぜひとも公式サイトを!

https://www.kotaichi.com/

 同時代を生きる表現者に瀬尾夏美さんや小森はるかさんがいらっしゃると思うと、清々しい頼もしさが胸に満ちます。

📚お金と性差別のからみあいを探る

イ・ミンギョン著、小山内園子・すんみ訳『失われた賃金を求めて』(タバブックス)の書評を書きました。

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https://book.asahi.com/article/14332004

イ・ミンギョンさんといえば『私たちにことばが必要だ フェミニストは黙らない』。「望まないやりとりははじめから断って、闘うなら既存の態度から脱して有利なポジションを先制する術」を獲得するための志と、その具体的な方法を教えてくれるこの本は、わかろうという努力すらしようとしていない相手を説得するためのことばを懸命に模索する義務が自分にはあると長い間思い込まされてきた私のバイブルの一つとなってます。

『失われた賃金を求めて』は、ただのお金の話にとどまらず、女性が知らずしらず背負いこんでる「感情労働」や「着飾り労働」、「治安」を死守するためにかかるコストも含めた男性との不均衡に斬り込んでいます。

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書評では紙幅のため触れられずにいましたが、西口想さんによる解説「日本で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ」も含めて、多くの方に読んでほしい一冊!

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『私たちにことばが必要だ』に続き、本書も小山内園子さん、すんみさんによる翻訳。やはりこのおふたりが手がけたチョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房)もまた、「匿名の女性たちがそれぞれの人生でつかみとってきた洞察、知識の集合」(イ・ミンギョン)が、物語のかたちで差し出された現代の必読書だなとあらためて🤝💐🤝💐🤝