🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

「普通」をほどく 『李良枝セレクション』をめぐって

お知らせが遅れましたが、2022年12月25日毎日新聞に李良枝さんの記事が大きく載りました。良枝さんの実妹・栄さんが語ってくださる「お姉ちゃん」の話はとてもチャーミング。『李良枝セレクション』収録の小説やエッセイ、講演録から伝わるものとはまた異なる李良枝さんの愛らしい魅力が伝わります(何しろ栄さんご自身もまたとっても素敵な方なのです)。

李良枝は、ありとあらゆる矛盾に対して言葉の次元で闘った作家。外国にルーツがあろうとなかろうと、この闘いを自覚的に闘う作家をこそ、この闘いを自覚的に闘おうとする作家のみを、私は尊敬します。このニュアンス伝わりますように。

栄さんが中心となって刊行していた日中英韓4ヶ国語の情報誌『We're』の創刊号の巻頭には、李良枝さんが綴った言葉あります。「これからも、わたしたちの交わし合う声の響きや日々のあり方が、必ず新しい歴史を作り出していく源になっていくだろう」。2023年。李良枝を燈にニホン語を書き続ける一人の作家として、隣り合う人々と交わし合う声の響きを堂々と愛おしめる安心感を死守するためにも、「日本語の住人として」の自分にとってのこれまでの日々をこれからも怯まず丹念に観察してゆこうと思っています。より良い未来と新しい歴史の源は私たちの日々の選択に懸かっていると信じながら。