🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

🎙「文学のふるさとをたずねて」『Kotoba 2023春』インタビュー記事

カズオ・イシグロを特集する『Kotoba』(集英社)にて、インタビューを受けました。聞き手をつとめてくださったのは仲俣暁生さん。編集部がご提案くださったテーマは「文学のふるさと」です。

笑顔の写真が採用されました。我ながら楽しそうだ。

3月下旬、カズオ・イシグロが脚本を手がけた『生きる LIVING』(監督はオリバー・ハーマヌス)が日本全国で公開されるのを記念しての特集。

kotoba.shueisha.co.jp

インタビュー収録中は、カズオ・イシグロだけでなく私の作品に対しても深い関心を寄せてくださる仲俣さんからの絶妙な問いかけに、自分自身の話をしすぎてしまっていないか時折心配になったものの、最終的にはまたカズオ・イシグロの偉大さを熱く語っているという、楽しい時間を過ごしました。さすが仲俣さんです。しかし活字になったものを見ると、やっぱり自分の話をしすぎたかな、と反省……それでも、「生まれた国」と「育った国」が合致していないという、現代世界を見渡せばまったくありふれているのに、ここ日本では未だにやや珍しがられてしまう「境遇」で小説を書く自分が、カズオ・イシグロから受けた影響について思い切り明言できたことは本当に嬉しく思います。

『Kotoba』の取材は昨年末でしたが、やはりカズオ・イシグロ特集の『ユリイカ』に寄稿したエッセイを『私のものではない国で』に収録しました。

カズオ・イシグロを愛読する方々に「この人ったら、自分のことばっかりね」と呆れられても仕方がないとドキドキしますが、インタビュー「文学のふるさとをたずねて」でこの特集に参加させてもらえたことを本当に幸運に思います!

↓で試し読み可能!

https://kotoba.shueisha.co.jp/tachiyomi/2303/5102.pdf

ちなみに他の執筆陣が大変豪華。町山智浩さんによる「カズオ・イシグロが選ぶ10本の映画」に作品の源流を探る、がすごく楽しくて、この映画見ようかな、あの映画見直したいな、もちろんイシグロのあの小説やこの小説も傍に置いて、とワクワクしてきます。

ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文さんのインタビュー「『わたしを離さないで』の衝撃ーー音楽から文学へ、文学から音楽へ」も、マークしたくなる箇所だらけ!たとえば、こんな。「〈自分たちは政治や社会とは無縁である〉と思いながら、無菌室のようなところで作っていたイノセントな音楽のほうが、結果的には、かえって利用されそうな気がします」。「〈表現者は特別である〉という幻想が、我々を利用されやすい存在に祭り上げているし、そもそも〈政治的発言をするな〉という言説に従っている時点で、政治的に利用されているに等しいと思います」。

そんな後藤さんの記事を構成なさった日吉信貴さんによる本特集の巻頭を飾る「カズオ・イシグロと『日本人らしさ』ーー日本語圏の読者に向けたイシグロ入門」がものすごく面白そうで、これからじっくり読むのがただもう楽しみでなりません!

『生きる LIVING』公開に先立って、カズオ・イシグロワールドを堪能できる特集。捲れば捲るほど、自分がこっそり混じってるのが信じられない。それにしても「サムライの遺伝子を受け継ぐすべての者たちへ」という、日本人に生まれてよかった、と感動したくてたまらない人たちの心を最高にくすぐる素敵なキャッチコピーの日米合作ハリウッド映画にて満開の桜の前で完璧だと呟いて切腹する最後の侍演じたKEN WATANABEが、『浮世の画家』の小野益次を演じるなんてね。

おほしんたろうさんの、おほことば。笑った。ただただ笑った。笑いすぎて、次号からも絶対チェックするこのコーナーと心に誓った。バックナンバーもチェックしなきゃ。

芋ようかんちゃん、気になる・・・。