おかげさまで、『私のものではない国で』(中央公論新社、2023)が本屋さんに並びはじめました。
先日、中央公論新社の営業さんに連れて行ってもらって、都内のいくつかの本屋さんにご挨拶してきました。ご多忙な中、のこのことあらわれた私を温かく迎えてくださった各書店ご担当者の皆々様、あらためて心からありがとうございます。それぞれのお店の「一等地」と呼べる場所に並べてもらった私の本を見つけてくださった誰かにとって、私の文章や言葉とめぐりあえたことが喜ばしい出来事になるといいな、と祈らずにいられません。
神保町、新宿、池袋、西荻窪。あちこちでやさしくしてもらったのもあって、改めて、背筋が伸びました。次。次の創作に向けて、またがんばらなくちゃ。私のことだ。次まで、きっとまた、けっこうな時間がかかるだろう。この1年半は私にしてはほんとうに特別……「永遠年軽」と「祝宴」をはじめ、ここ数年分のお仕事がどうにか着地し、順調に本になった。李良枝さんの没後30年とも重なり、『李良枝セレクション』の編者を務める機会も得た。さらに、鉄道開業150周年を記念した『鉄道小説』でも短篇小説を書かせてもらって……1冊めの小説『来福の家』が刊行後2年と経たずに絶版になって、ポカンと青い空(ものすごく快晴の日だった)を見あげながら、なんという世知辛さなのかと身震いしたことが忘れられません。あの日私は必死で自分を奮いたてました。もっといい小説を書くんだ。そうすればきっとまた、素敵な本を作ってもらえる。
考えれば考えるほど、『私のものではない国で』に収録されているもののほとんどは、「魯肉飯のさえずり」に続けて「祝宴」に取り組んでいた期間の私が、どんな小説を自分は書きたいのか、書いているのか、考えをめぐらせてきた内容に思えてきます。
『祝宴』に続けて、そんな『私のものではない国で』もいよいよ、本屋さんに並びはじめました。ついに、一段落、という心地です。一段落したからには、次の”段落”に向かってゆくんだ。もっともっと、いい小説を書くんだ🕊