🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

✍️小説「二匹の虎」が『すばる2023年12月号』に掲載されます。

 2023/11/06発売予定『すばる12月号』に中篇小説「二匹の虎」が掲載されます。

掲載誌が届き、二匹の虎がじゃれ合う表紙に、おもわず涙ほろり。

 空港から始まる一篇です。

近藤愛さんによるチャーミングな二匹の虎のイラストが、こちらにも🐅🐅♪

 作品にちなんだチャーミングなイラストに囲まれたタイトルと著者の名前を眺めながらあまりにも嬉しくて、夢じゃないといいのだけど、と夢心地に。これだけでもふわふわとしてしまうのに、なんと同号には、2004年に行われたアニー・エルノー氏と津島佑子さんの対談が再録されているのです。しかも司会・通訳を務めたのはアゴタ・クリストフ『文盲』の翻訳でもよく知られる堀茂樹さん。

津島さんの笑顔が恋しくなります。

 昔々、まだ大学院生だった私はリービ英雄さんや川村湊さん、司修さんらのもとで文学を学んでいたのですが、そのご縁で、津島佑子さんとお目にかかる機会に恵まれたことがあります。私も小説を書きたいのだけれどなかなか思うように書けなくて、と図々しくも津島さんに言ってのけた二十代半ばの私に、小説を書くのは面白いものね、とおっしゃってくださった津島さんの言葉の意味が、四十歳を過ぎた今、やっと、わかりつつある気がしています。

 そして、今回の『すばる』。私の小説の次の頁には、エリザベス・コールさんの「エアプランツの日記」が(翻訳は由尾瞳さん)。「息子たちが大きくなったら、自分たちの子供時代について、どう話すのだろう? 両方でいることについて。言葉で表現できるのだろうか?」 ああ、これは私が、まさに今も、自分の子供時代について、小説を書くという行為によって、試みたいことの一つだなと思う。両方でいる、あるいは、二つ以上のものとしてある、ということについて。私は書きたかった、書いてみた、書き続けたい、また書くだろう。