🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

✏️推薦文を寄せました。上川多実著『〈寝た子〉なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』(里山社、2024)

ひとりでも多くの、それを絶対に必要とする人のために、一冊いっさつの本を心を尽くして編みあげる、小さな出版社のお一つ、里山社さん。そんな里山社さんから、もうじき、こんな本が。

『〈寝た子〉なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』。著者は、上川多実さん(多く、実る、って、なんとふくよかなイメージの、素敵なお名前なのでしょう)。里山社さんのKさんから大変丁寧なメールをちょうだいし、上川さんの「日常」が織り込まれたこのエッセイを読ませてもらって、推薦文を書かせていただきました。

satoyamasha.com

佐藤真を師事しドキュメンタリー映画『ふつうの家』を発表したこともある上川さんは、「マジョリティ側にわかるように自分のつらさを説明し続けなければならない」ことこそ、ご自身のつらさの大きな一因だったと書いています。本人が望もうと望むまいと、他の多くの人びとから「少数派」とみなされる機会の方が圧倒的に多い立場で生きざるを得ない人。そういう人たちのほとんど誰もが、自分に「正直」であろうと決意した途端、どうしても、しょっちゅう、絶対にぶつからざるを得ない、「わかってほしい、わかってもらわなければ、でも、わかってもらうために、なぜ、こんなにも一方的に頑張らなくちゃならないの?」という「疑問」……この本が、イ・ジェフンやチ・ジニの出演するドラマ『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士』の話題から始まるのもあって、あのドラマがまさにそうであったように、私たち次第で、この「世界」は、今よりももっとましになる、と読後にしみじみと感じました。それにしても、幸せなふりをしない、不幸なふりをしない、正直に自分と向き合う。自分自身を「解放」するには、やっぱりそれしかなさそうです。「部落差別」について学ばなきゃ、などと身構えず、上川さんによるこの「解放日誌」を、やっぱりいつもなんとなく窮屈なあなたにこそ是非とも読んで欲しく思います。

 

✏️リレーコラム「たしなみ」が掲載されました。

報告が遅れましたが、1月17日(水)読売新聞夕刊では、先々週行われた台湾総統選挙に”行かなかった”理由を書きました。

作家になって以来、日本や台湾で「選挙」があるたび、こういうことを書かせてもらう機会や媒体に、その都度そのつど、きちんと恵まれてきた私は、ひょっとしたら「一票」よりも重みのある責任を握りしめているのではないかと思うことがあります。こんなもの手放した方が楽だろうなと揺れることもあるけれど、今はまだ、こうした機会を重んじながら書くことを続けたいと感じています。折しくも、1月17日の紙面。29年、という月日に思いを馳せつつ。

🎙1・27(土)Studio04@東京・西大島にて『New Habitations: from North to East 11 years after 3.11』記念イベントがあります

メモ。「マッチが擦れるみたいにして火花が散る。そこで灯った火が、語られた言葉の傍らにあるはずの、語られないこと、語り得ないことたちを照らしてくれる気がして。それらを無理やり明るみに出そうとは思わない。ただその存在を忘れずにいたい」(瀬尾夏美)

瀬尾夏美さんの最新刊。生きのびるブックス、というとっても素敵な名前の出版社!

瀬尾夏美さんと仲間たちのプロジェクト「カロクリサイクル」の拠点であるtoukyouのStudio04にて、写真詩集『New Habitations: from North to East 11 years after 3.11』の展覧会が、先週末から開催中! トヤマタクロウさんの写真と瀬尾夏美さんの詩の呼応が放つ、絶妙な緊張感が快くて、大変素晴らしいのですが、今回、Studio04には写真集収録作品や未掲載カットが展示されるとのこと。私はまだ現場に行ってませんが、とっても楽しみです!

「住むの風景」というプロジェクトのうち、「被災後を生きる」篇から生まれたこの写真詩集。同じく「住むの風景」のもう一つの「四十年目の都市」篇のメンバーである私・温が、この展覧会の最終日1・27(土)の午後に行われるトーク&スライドショーにゲストとしておじゃまさせていただくことになりました。題して「11年後の東北と東京」。参加は無料ですが事前申込制です。申し込み方法は以下をご覧くださいませ。

docs.google.com

瀬尾さんとお喋りするのがとっても楽しみです。ご都合つく方、ぜひとも私たちに会いに来てくださいね。トークイベントのご参加は難しくとも会期中に展覧会に足を運ばれるのをお勧めいたします!

(住むの風景についてはこちらを)

newhabitations.com

 

 

 

✏️「日本語のなかの何処かへ」第11回めが掲載されました。

発売中『世界2月号』に、「日本語のなかの何処かへ」載っています。

「不太會學習,只很愛學習」な私。考えてみれば、まだ字が書けなかった頃から(ドラえもんが出てきそうな引き出し付きの)机に向かって「勉強」しているごっこがとても楽しかった子どもでした。自分のからだよりもずっとおおきな机に向かうかつての小さな私?みたいでとても愛おしくなる趙文欣さんのイラストに頬が緩みます。

「日本語のなかの何処かへ」と題したからには、この連載が始まって以来、『悲情城市』のトニー・レオンと李良枝の「除籍謄本」及び「かずきめ」を一緒にあわせて考えたかったのですが、なかなか難しく、何度も挫折をしたのち、今回、やっとできました。とはいえ、まだ十分に考え尽くしたとはいえないので、連載が終わった後も引き続きこの件についてはあちこちで書いてゆけたらと思っています!

先月、リニューアルしたばかり『世界』。かわいい♪  今回の二つの特集は「リベラルに希望はあるか」と「受験という迷路」。特に、鳥羽和久さんの「受験後遺症の大人たち」は、「勉強」のほんとうの楽しさ、について改めて考えさせられました。特集以外にも興味深い論考もいくつもあって、今月も『世界』とても読み応えがあります。キム・ウォニョン氏の発言「わたしがやりたいのは、互いに何の関係もなく交流もない複数の世界を一つの空間へと引き寄せること」を引用し、「これは自分たちが実践したいことでもある」と結ばれている編集後記を読みながら、こういう場所で、書くという方法で、1年に亘って、たっぷりとあれこれ考ええてきた自分の幸福を感じ入ります。そう、私の連載も次回で最終回! とりあえずの着地点にむかって、頑張ります。どうか楽しみになさってください。

🦋月刊掌編小説@東京新聞に「叔父さんは蝶々」を寄せました

東京新聞夕刊で毎月第4土曜日、いつもとても素敵な方々が小説を寄せている「月刊掌編小説」にて、温も一篇、書かせてもらいました(新聞掲載日は2023年12月23日)。小河奈緒子さんが描いてくださったイラストに心が温められました。東京新聞のTOKYO Webで全文が読めます。クリスマスのささやかなお供にどうぞよろしくお願いいたします🎄

www.tokyo-np.co.jp

 

 

✏️リレーコラム「たしなみ」が掲載されました。

12月13日(水)読売新聞夕刊、今回の「たしなみ」は私の番でした。

今回は、イメージ通りだった、のマナー。思い返してみれば「本を書いた人」になってからの私は、私の本を読んで私の文章を気に入ってくれて、私と会いたいと希望してくださった方々のお声がけやご尽力で、彼や彼女が待っている先々で、素敵な出会いをたくさん授かりました。大学や高校や図書館や町の本屋さん・・・ひょっとしたら、一生、私(の本)を知らなくても、楽しく生きていたはずの人たちから「お話を聞いて、あなたの本を読みたくなりました!」と言ってもらえるたび、願わくばこの人も私の本を読んだことで、より前向きに日々を過ごす活力を得てくれたらなあ、と考えてしまいます。また、いろんなところに行きたいなあ。これからもあちこちからお声をかけてもらえるような作家でいられるよう、引き続き、良い本を書きたいです。書かなくちゃね!

ところで、連載開始時から毎回とっても素敵な絵を描き下ろしてくださるmaegamimamiさん。maegamimamiさんの描く女の子や子どもたちと友達になりたいと密かにいつも思ってきましたが、今回とうとう、私!みたいな人が!涙

私も、緑色のネイルをしようかな💚

 

 

 

 

 

サイン誕生👼

最近、9歳の姪っ子が私のサインに添えるマークを考えてくれました。

姪っ子・モモちゃん考案のサイン👼

今までは自分の名前をぎこちなく書かせてもらうだけでしたが、これを契機に姪っ子が考案してくれたマークを添えることにしました♪

それにしても、私は素敵な本ばっかり作ってもらってる。一冊いっさつが本当にしみじみ愛おしい。それぞれの版元の担当編集者さんたちが恋しくなってしまいます。もちろんかれらは私だけの担当ではなく、しかも今の時期、絶対に魔の年末進行!で大忙しだろうから、「お元気でー」と念を送るのみ。良い本を作ってもらった最大の恩返しは、次なるいい作品を書くこと。あ、あとすごく売れること? それは私の本ではちょっと難しいので、どうかどうか、せめて赤字ではありませんように(切実)。そして、これからも、私の本を作りたいと思ってくださる方々と良いお仕事ができますように。そしてそして、全国各地の書店さんで私の本を推してくださる方々が、私の本を置く(売る)ことを楽しんでいられてますように。そしてそしてそして、図書館の方々からも「温又柔の本ならぜひとも入荷しなくちゃ!」と思ってもらえる作家でいられますように。この場を借りて🕊

ちょっと小籠包にも似てるとお褒めの言葉をちょうだいしたサイン♡