🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

この世界に文学は必要不可欠だ📚

朝日新聞12月25日朝刊「検索の果てに本の真価」にて「今年の3点』として、

①『J・M・クッツェーと真実』(くぼたのぞみ著、白水社・2970円)
②天路(リービ英雄著、講談社・1870円)
③ 断絶(リン・マー著、藤井光訳、白水社・3740円)

を選ばせていただきました。

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https://book.asahi.com/article/14509785

クッツェーリービ英雄といった文学者たちやその作品群に救われてばかりです。くぼたのぞみさん、藤井光さんといった、世界の最前線で書かれる「今、こことは異なる、より善き世界の在り方を希求させる」文学を、日本語でしか小説を読めない私のような読者に贈ってくれる翻訳者の存在にも最大級の敬愛を込めて。もちろん、英語圏に限らず。

そして、書評委員の方々の「この一年」。縁あって同じ誌面に並ぶ他の方々の書評にもしょっちゅうインスパイアされました。とりわけ、「なぜこの本を選ぶのか。どう書くのか。自らと対峙する」阿古智子さんの書評からは得るものが多かったとしみじみ…!

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私はこの1年、「祝宴」と題する(予定の)中篇小説をずっと書いていました。無事完成するに至ったら「台湾の父親たち」に捧げたいと思っています。この作品を書いている真っ只中という時期に田村志津枝さんのおはなしを伺えたことの僥倖を噛みしめつつ。

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「ぼくは日本に生れた。ぼくは日本語以外に話しができない。ぼくは日本の仮名文字を使わなければ手紙が書けない。だから日本人にならなければぼくは生きたってしょうがないんだ」(周金波)。

日本語で書かざるを得なかった「祖父」たちの〈未来〉を生きている台湾人として、日本語で創作する私は、何度でも生き直せる幸福に恵まれている。以前にもましてそう意識する日々だ。書くことは生きること……Life Goes On.