🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

「普通」を問いつづけなければならない時代に 『小説トリッパー冬2022』

2022/12/16発売『小説トリッパーWINTER 2022』にインタビュー記事が載っています。

あかるい方へ向かって歩く姿を撮ってくださった写真がとても気に入ってます。(撮影・加藤夏子

2009年に「好去好来歌」でデビューし、「永遠年軽」と「祝宴」を発表するまでの自分が、その都度そのつどの自分にできる「最高」をどんなふうにめざしてきたのか、たっぷりと喋らせてもらいました。なんと、10頁にも及ぶボリュームたっぷりの記事です。このコーナーに登場させてもらえたことで、これまで発表してきた自分の作品を一覧することができて、ほかでもない私にとって大変贅沢な機会となりました。

インタビュアーは、倉本さおりさん。安心して、思いの丈を次々と言葉にすることができました。

小説トリッパー」の編集部・Uさんがつけてくださったインタビュータイトル「『普通』を問いつづけなければならない時代に」が頼もしいです。同号掲載の〈クロスレビュー〉では、「好去好来歌」が活字になったばかりの頃から私に注目くださっていた江南亜美子さんが、「祝宴」を「複雑な言葉や民族的バックボーンを描きつつ、コミュニケーション不全からの回復の問題という普遍的なテーマが浮上してくるのが本書の魅力だ」と評してくださっていて……。

江南亜美子さんが、やはり「小説トリッパー」の〈クロスレビュー〉で、「日本語文学の地平を切り拓かんとする力を、温又柔は秘めている」と書いてくださったときも、ものすごく励みになったのを、とってもよく覚えています。

小説トリッパーAUTUMN 2017』より

考えてみれば、この5年は、「書くべきテーマを繰り返し書くなかで」、「小説の肌理(きめ)」についても、ずっと意識していました。「群像12月号」掲載の平岡直子さんによる「永遠年軽」評を読んだときにも強く感じましたが、小説を、一作また一作と発表するごとに、その作品の著者としての私という作家の可能性を、私に感じさせてくれる書評に確実に恵まれつづけてきたので、やっぱり私は幸運な作家なのです。

wenyuju.hatenadiary.com

さて。次の計画も、実は。「たぶんこれからも私は、かつて日本の統治下にあった台湾人の「末裔」として日本語で生きている自分自身を軸に、歴史と向き合ったり、歴史と戯れあいながら、小説を書く」のでしょう。

publications.asahi.com

ちなみに、この「小説トリッパー2022年冬号」には、『永遠年軽』の装画を描いてくださったムラサキユリエさんのイラストも織り込まれてて。それもなんだかものすごく嬉しい。

2022/12/16の再確認🌱