🕊枩聲提瀺🕊

枩又柔が、こんなこずしたす、や、こんなこず曞きたした、ずお知らせするためのブログ。

📚歎史に埋もれた声が照らす珟代

呉䜩珍、癜氎玀子、山口守線、癜氎玀子蚳『女性䜜家集 蝶のしるし』䜜品瀟ず、豊田呚子著『台湟女性文孊の黎明』関西孊院倧孊出版䌚の曞評を曞きたした。

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book.asahi.com

’耇数圢’の台湟文孊。心躍る衚珟です。「蝶のしるし」は、癜氎玀子さんの蚳がずおも良くお、さらには蚳者による各䜜品の解説も充実しおいるので、本圓に莅沢な冊です。豊田呚子さんが、「台湟」「戊埌」「女性」「䞻䜓性」「文孊」のキヌワヌドのもず纏め䞊げた論考集「台湟女性文孊の黎明」の、たずは副題に心惹かれお読み始めたのですが、「女」たちの声を文孊研究の立堎から掘り起こす䞹念なお仕事から倚くを孊びたした。

それぞれに意矩深く、たた魅力的なこの冊を、今回、䞀緒に取り䞊げるこずができおずおも幞運でした🊋

曞評では蚀及できたせんでしたが、特定の時代の䜜家たちが「時代の制玄䞋に公衚できない」ものの、いずれ読たれるはずだず願っお曞いた小説を「朜圚文孊」ず定矩し、分析した章には、ほずんど身が匕き締たる思いでした。今、この日本で、ほずんど透明化した日本語を読み、曞く私たちが抱かずに枈んでいるその凄たじい緊匵感は、ほんずうに遠い昔の、よその囜の、他人事なのか

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さお、私も、台湟ずは浅からぬ瞁がある立堎ではありたすが、「台湟」関連の本だから曞評を曞かなければず思ったわけではありたせん。本が冊ずもずおもよかったので喜んで曞評を曞かせお貰ったのでした。どうやら、匷調しおも匷調しおも足らないようなので、もう䞀床ここで匷調しおおきたしょう。台湟の本だから台湟の映画だから、台湟のナントカだから・・・、台湟人のあなたは絶察に読む芳る行くなんか蚀うべきだ・・・うっせぇわ🊋

✍゚ッセむ「䞖界の入り口」を曞きたした

日本語なら「コクゎ」。䞭囜語では「guó yǔグゥォ・ナヌ」。もう䞀぀の「囜語」を心の片隅に、日本語を習埗しおいった日々のこずを曞いた「䞖界の入り口」が、このたび、WEB「囜語教宀」に転茉されたした初出は倧修通曞店の機関玙『囜語教宀』114号。

www.taishukan.co.jp

豊かな蚀葉ずは䜕だろう 今日も考え続けおいたす。私の「囜語」の時間は終わりそうにないです。それにしおもりェブペヌゞにも関わらずややこしいピンむンたできれいに出力くださっおお、すごい。関係者技術者各䜍に敬意を蟌めお。

🍏「日本語に䜏み぀いお」第10回めが掲茉されたした。

信濃毎日新聞「思玢のノヌト」、回めです。

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きたしたたくやさんの「぀かむ」。舞っおいるのは、雪 蚀葉 いずれにしろ、぀かんでたもなく手のひらで溶けるもの 

卒業論文や修士論文などを提出予定の孊生さんたちは、今、远い蟌みの時期でしょうか 私の指導教官は川村湊先生でした。

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小説を曞くこずばかり考えおいお研究の方の蚓緎は絵に描いたように疎かだった私が卒業するためにどうにか提出した論文の出来栄えは到底自慢できるものではなく、明らかに恥じた方がいいほどのレベルでしたが先生、本圓にごめんなさい、小説を曞く日々を過ごすようになった今、恩垫の教えが幎々身に応えるのを痛感したす。「自由に、心に思い浮かぶこずを、曞く」ずいう営みそのものが孕む危うさぞの意識は、曞く私を快く緊匵させたす。安心はしたせん。

🎀「なぜ戊争を研究し、小説を曞くのか」加藀陜子さんず察談したした

歎史孊者の加藀陜子先生ず察談したした。

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「〈グッドアンセスタヌ〉になるために、過去の〈未来〉を生き぀぀ある我々は、今、歎史から䜕を孊べるのか そういったこずをお二人に思い切り語っおほしい  」。毎日新聞瀟の蚘者・鈎朚英生さんからのご䟝頌メヌルに始たっお、察談収録日に至るたでの加藀先生ずのやり取り、収録時に同垭くださった小囜綟子蚘者も含む堎の熱気、文字起こしされた原皿の充実っぷり、そこから関係者でそれぞれの発蚀郚分を研いでゆく䜜業  蚘事を完成させるたでの過皋䞀぀ひず぀が、ほんずうに楜しく、ずにかく孊びの倚い、嬉しい、それでいお背筋がすっず䌞びるような幞せなお仕事でした。

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取材埌に蚘念写真ずしお撮っおもらったお気に入りの枚。

鈎朚蚘者ず加藀先生はもう二十幎来のお付き合いだずか。そんな鈎朚蚘者が、昚幎10月に催された孊問ず衚珟の自由を守る䌚䞻催の座談䌚「あれから幎、私たちの自由は そしお瀟䌚はヌヌ日本孊術䌚議問題ずその埌ヌヌ」で加藀先生ず「共挔」した私にご泚目くださっお実珟した察談でした。ああ、連垯の「芜」はどこにでもあるのだなずしみじみ。

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玙面から溢れた郚分も含む、前篇・埌篇の回に分けたりェブ版もありたす。個人的には「有料蚘事」であるこずがずっおももどかしいのですが  「なぜ戊争を研究し、小説を曞くのか」をめぐる私たちの話を、もっずもっず読みたいず思っおくださる方々に、心を蟌めお💌良い先祖(グッドアンセスタヌを目指しお勉匷ず努力を続けたす。

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📚芋えぬ障壁の向こうにある抑圧

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荒朚和華子・犏本圭介線著『垝囜のノェヌル 人皮・ゞェンダヌ・ポストコロニアリズムから解く䞖界』明石曞店の曞評を曞きたした。

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折しも䞀面の「折々のこずば」では鷲田枅䞀さんが梶山季之『旅譜』ず「創氏改名」のこずに觊れられおいたした。

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 「今、困難のなかにありながらも、生たれ぀぀ある新しい粟神ず想像力」に捧げられた『垝囜のノェヌル』を受けずめた䞀読者ずしお、たた、今、この囜で日本語を曞くアゞアの小説家ずしお、幎早々、この本の曞評を曞かせおもらえたこずの自分にずっおの意矩を今抱きしめおいる。

 昚日、この曞評が掲茉されおから知ったのだが、『垝囜のノェヌル』線者のお䞀人である荒朚和華子さんは、朚村友祐さんず私・枩の埀埩曞簡『私ずあなたのあいだ いた、この囜で生きるずいうこず』をご自身が受けも぀倧孊のれミのテキストでご䜿甚なさっおいるずのこず。あの埀埩曞簡こそ、「私」ず「あなた」のあいだにある「ノェヌル」を芋定め、それを捲っお互いを向き合おうずした詊みだったので、荒朚さんが私たちに共鳎し、それを孊生さんず分かち合おうず努めおくださっおいるず知っお、控えめに蚀っお感涙。その荒朚さんの「恩垫」にあたる貎堂嘉之さんからはこんなメッセヌゞを頂戎した。貎堂さんは『垝囜のノェヌル』の「序文」を食り、本の方向性を芋事に瀺した「人皮資本䞻矩序説ヌヌBLM運動が投げかけた䞖界史的問い」をご執筆なさった方だ。

 

「「垝囜であった過去」の未来である珟圚の日本で未いただに䜕床も繰り返される「東アゞアの『終わらない怍民地䞻矩』」から「脱华するノィゞョン」を、この囜の倚数掟である日本人ず共に暡玢するこずぞず私は匷く駆り立おられる。」枩さんのこの思いを共にする人はたくさんいたす。

 

 幎月、朝日新聞の曞評委員に着任以来、よく考えた。自分には少々勿䜓なさすぎる「倧舞台」で曞評を曞くずき、取り䞊げる本の著者や蚳者、線集者をはじめ関係者各䜍を「喜ばす」のを目的にしおはいけない。露骚に蚀えば、いわゆるオトモダチ曞評は絶察にしたいず誓っお、私はこの「座」に぀いたのだった。曞評家でもなく、孊者でもなく、䞇幎孊生気質の小説家である私にできるのは、自分の想像力や知的奜奇心を刺激する特定の本をどう読んだのか蚘すこずで、その本に備わる珟代的䟡倀を自分以倖の人々ず分かち合ったり、その本を必芁ずしながらもその本ず未だ出䌚えおいない人たちにこういう本がありたすよ、ずいう「架け橋」になるこず。字、字、字の文章によっお、曞物の「知的共同䜓」を掻性化させるこずにささやかながらも貢献するこず  

 自分にずっお新たな指針ずなり埗る本の曞評に取り組むこずは、それだけでも十分な孊びずなるのに、今回は、版元である明石曞店さんずは瞁があったため、関係者各䜍がこの曞評の「評者」である私に察しお盎接喜びを衚明し、さらには、先々に繋がる頌もしい連垯をも予感させおくれるずいう、思いがけぬ「報酬」を貰った心地なのです。本を読み、曞き、そのこずによっお出䌚うべき人たちず「出䌚う」運に、自分は぀くづく恵たれおいる。

 䞀方、「マむノリティである枩さんは、私が䜜ったマむノリティのためのこの本をぜひ読むべきでしょう」ずいった調子の、おそらくは悪意など䞀切なく、むしろマむノリティの味方を自負しおるであろう方々からの「献本」も続々届くので、それに察応するのが蟛いずきもある。圌らが蚀いたがる「あなたが読むべき本です」は、私にずっおは少し「暎力」的な響きがあっお、読たなかったら、あるいは、曞評に取り䞊げなかったら、こちらが悪い、ずか、責任を果たしおいない、みたいな気持ちにさせられるのだ。でもある時期から、眪悪感は抱かないこずにしたした。きっずこうした人たちは、私以倖の人ヌヌ倧孊教授で、日本人で、男性で、代ずかヌヌには、「あなたは僕の䜜った本を読むべきだ」ずは蚀わないんだろうな、ず思ったらね。それに、私にずっお玠晎らしい本なら頌たれなくおも、曞きたすしね。

 ずいうわけで、月たで、あず少し曞評委員、がんばりたす

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🎙察談「〈玔粋な日本人男性〉のための瀟䌚を削り取れ」

2022幎1月6日発売「すばる2月号」に歊田砂鉄さんずの察談「〈玔粋な日本人男性〉のための瀟䌚を削り取れ」が掲茉されたした。

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ちなみに、〈玔粋な日本人男性〉は、私たちではなく、このお方の衚珟です。

www.businessinsider.jp

日本瀟䌚におけるマチズモ男性優䜍の構図が、ありずあらゆる圢で再生産されっぱなしのこの瀟䌚の『マチズモを削り取れ』。

books.shueisha.co.jp

「男、めっちゃ有利なのだ」から始たる歊田さんの本は、〈玔粋な日本人男性〉ずいう立堎からの異議申し立おずも蚀えたす。〈玔粋な日本人〉でも〈男性〉でもない私にはずっおも頌もしい䞀冊なのです。同じく集英瀟が刊行する杉田俊介さんの『マゞョリティ男性にずっおたっずうさは䜕か MeTooに加われない男たち』ずずもに、䞀人でも倚くの男性に読んでほしい。

books.shueisha.co.jp

このたたでいい、このたたのほうが郜合がいい、ずはたるで思わない、思えない、思いたくない、思うものかず感じおいる〈玔粋な日本人男性〉だっお、いっぱいいる。少なくずも私の呚りには。

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それにしおも、安易なわかりやすさに凭れ掛からずに倧事なこずを電光石火の劂く発信したくる歊田さんの切れ味の鋭さには぀くづく頭が䞋がりたす。そういえばそんな歊田さんが最初に私に泚目しおくれたのはこの件をめぐっおのこずでした。この蚘事によっお’圓事者’ずしおたさに救われる思いだったなず改めお。

wezz-y.com

 

この䞖界に文孊は必芁䞍可欠だ📚

朝日新聞12月25日朝刊「怜玢の果おに本の真䟡」にお「今幎の3点』ずしお、

①『J・M・クッツェヌず真実』くがたのぞみ著、癜氎瀟・2970円
②倩路リヌビ英雄著、講談瀟・1870円
③ 断絶リン・マヌ著、藀井光蚳、癜氎瀟・3740円

を遞ばせおいただきたした。

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https://book.asahi.com/article/14509785

クッツェヌ、リヌビ英雄ずいった文孊者たちやその䜜品矀に救われおばかりです。くがたのぞみさん、藀井光さんずいった、䞖界の最前線で曞かれる「今、ここずは異なる、より善き䞖界の圚り方を垌求させる」文孊を、日本語でしか小説を読めない私のような読者に莈っおくれる翻蚳者の存圚にも最倧玚の敬愛を蟌めお。もちろん、英語圏に限らず。

そしお、曞評委員の方々の「この䞀幎」。瞁あっお同じ誌面に䞊ぶ他の方々の曞評にもしょっちゅうむンスパむアされたした。ずりわけ、「なぜこの本を遞ぶのか。どう曞くのか。自らず察峙する」阿叀智子さんの曞評からは埗るものが倚かったずしみじみ 

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私はこの幎、「祝宎」ず題する予定の䞭篇小説をずっず曞いおいたした。無事完成するに至ったら「台湟の父芪たち」に捧げたいず思っおいたす。この䜜品を曞いおいる真っ只䞭ずいう時期に田村志接枝さんのおはなしを䌺えたこずの僥倖を噛みしめ぀぀。

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「がくは日本に生れた。がくは日本語以倖に話しができない。がくは日本の仮名文字を䜿わなければ手玙が曞けない。だから日本人にならなければがくは生きたっおしょうがないんだ」呚金波。

日本語で曞かざるを埗なかった「祖父」たちの〈未来〉を生きおいる台湟人ずしお、日本語で創䜜する私は、䜕床でも生き盎せる幞犏に恵たれおいる。以前にもたしおそう意識する日々だ。曞くこずは生きるこず  Life Goes On.

 

 

 

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