🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

📚歴史に埋もれた声が照らす現代

呉佩珍、白水紀子、山口守編、白水紀子訳『女性作家集 蝶のしるし』(作品社)と、豊田周子著『台湾女性文学の黎明』(関西学院大学出版会)の書評を書きました。

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book.asahi.com

’複数形’の台湾文学。心躍る表現です。「蝶のしるし」は、白水紀子さんの訳がとても良くて、さらには訳者による各作品の解説も充実しているので、本当に贅沢な1冊です。豊田周子さんが、「台湾」「戦後」「女性」「主体性」「文学」のキーワードのもと纏め上げた論考集「台湾女性文学の黎明」の、まずは副題に心惹かれて読み始めたのですが、「女」たちの声を文学研究の立場から掘り起こす丹念なお仕事から多くを学びました。

それぞれに意義深く、また魅力的なこの2冊を、今回、一緒に取り上げることができてとても幸運でした🦋

書評では言及できませんでしたが、特定の時代の作家たちが「時代の制約下に公表できない」ものの、いずれ読まれるはずだと願って書いた小説を「潜在文学」と定義し、分析した章には、ほとんど身が引き締まる思いでした。今、この日本で、ほとんど透明化した日本語を読み、書く私(たち)が抱かずに済んでいるその凄まじい緊張感は、ほんとうに遠い昔の、よその国の、他人事なのか?

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さて、私も、台湾とは浅からぬ縁がある立場ではありますが、「台湾」関連の本だから書評を書かなければと思ったわけではありません。本が2冊ともとてもよかったので喜んで書評を書かせて貰ったのでした。どうやら、強調しても強調しても足らないようなので、もう一度ここで強調しておきましょう。台湾の本だから(台湾の映画だから、台湾のナントカだから・・・)、(台湾人の)あなたは絶対に読む(観る)(行く)(なんか言う)べきだ・・・うっせぇわ🦋