🕊枩聲提瀺🕊

枩又柔が、こんなこずしたす、や、こんなこず曞きたした、ずお知らせするためのブログ。

✍小説「祝宎」を『新朮2022幎月号』に発衚したした

2022幎月日発売『新朮月号』に新䜜小説が掲茉されたした。

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䞉囜矎千子さんの小説や奈倉有里さんの緊急報告ずの「共挔」が嬉しく頌もしいです

 タむトルは「祝宎」です。

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五月女哲平さんによる爜やかなカットが玠敵です

フィオナ・タンの䜜品〈Linnaeus' Flower Clockリンネの花時蚈〉の䞀節に導かれお、曞いた小説です。

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2020幎3月「魯肉飯のさえずり」の最終章を曞きあげたその日に、「母ず嚘の物語は、これでもう十分に曞き切ったはずだ。次は、父芪のこずを曞かなくちゃ」ず心に決めたこずを鮮やかに芚えおいたす。

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『ナリむカ2021幎8月号』「スクリヌンの向うに芋る私の〈台湟〉田村志接枝さんのお話を䌺っお」より。これを曞いた時も、『牯嶺街少幎殺人事件』が台湟で封切られおから「30幎」埌の倏に自分はいるのだず意識しおいた。

私自身の父芪のみの、ずいうよりは、この歎史の䞭の台湟の父や䌯父や叔父、祖父や倧叔父らの人生に぀いお、少幎や青幎だった圌らよりもはるかに幎䞊になった日本語で生きおいる圌らの嚘や姪や孫嚘ずしお、私は小説を曞くずいう圢で近づきたかったのかもしれたせん。

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 ずはいえ、曞こうずすればするほど、曞きたいずほんずうに願っおいるこずが自分から遠ざかっおゆく気がするのだけれど  越是想將它寫䞋,就會癌珟它益癌遠離自己。

 そしお、曞きたいずいう衝動が鎮たった今、読たれたいずいう欲望もたた、静かに募っおくる。ただし、誰に察しおも、そうは思わない。この小説が必芁ずする読者に、この小説を必芁ずしおくれるあなたに、どうか読んでもらえたすように。私が、゚ドワヌド・ダンや李良枝ず出䌚えたように。それがたずえ30幎埌になっおも。今幎は李良枝の没埌30幎でもある。

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 「小説でしか衚珟できない圢での祝犏」。線集長のこずばに泣けおくる。これが自分の䜜品に宛おられた蚀葉でなかったのなら、その䜜品やその著者にあかるい嫉劬をさんざんず燃やしたこずだろう。それぐらい、これからの私にずっおも指針ずなり埗るこずばの予感。私はやっぱり小説をこそ曞き続けたい。人生の䞭で小説によっお支えられた蚘憶の数々が、私にも小説を曞かせようず、こずあるごずに促すのだ。この欲望を信じよう。それにしおも李良枝の没埌30幎に「祝宎」ず題したこの䜜品を発衚できおその䞀点だけでも本圓によかった。

この幎分の曞評たずめ私の続・「宣戊垃告」●*

 先日、私の曞評の担圓蚘者さんに䌚った。振り返っおみれば、『「囜語」から旅立っお』を読んだかのじょが、この本の著者が曞く曞評を読みたい、新聞の読者に読たせたいず熱望しおくれたからこそ、私はあの「倧圹」を匕き受けなくおはず自分を焚き぀けるこずができたのだ。 

蚘念撮圱。ここに写っおいない数冊も含めお、䞀冊いっさ぀から倚くを孊びたした。

2020幎5月、私は自分の”曞評デビュヌ”ずしお、カルメン・マリア・アチャドの『圌女の䜓ずその断片』゚トセトラブックスを遞んだあの本が、あの時期に刊行されたこずは私にずっおずお぀もなく幞運なこずだった。

 どきどきしながら仕䞊げた私のその曞評を読んだかのじょの䞊叞は「よく、こういう曞き手を芋぀けおきたね」ず蚀ったずいう。
 考えおみれば、あの評は私の曞評委員ずしおのちょっずした「宣戊垃告」でもあった。
 今も私は、「䞖界に察するみずからの解釈が、今、自分の生きおいるこの瀟䌚においお最も支配的なナラティブず重なっおいる」おかげで「い぀も正しそうに芋える人たち」が、これ以倖にはないず思い蟌む「正しさ」が、ほかの誰にずっおも「正しい」ずは限らないず思っおいる。
 その蚌に私は、圌らのあずかり知らぬ自分自身の「正しさ」を信頌しおいる。そしお、それず同時に、自分にずっおのさたざたな「正しさ」が自分以倖の誰かを圧するかもしれないずも垞に意識しおいたいず思っおいる。私もたちがっおいるかもしれない。それは、意識しおもしおも足らないぐらいなのだから。
 この幎に曞評を曞くために読んだ玄冊の本から教わったこずだず思っおいる。「奜曞奜日」に、自分の読んで孊んだ蚘録のアヌカむブが残っおいるこずがうれしい。
 ずころで、自分が創䜜物を発衚するたびに思うのは、䞖の䞭には、他人の䜜品を利甚しお自分は偉いず瀺したがる人たちが確実に䞀定数はいるずいうこずだ。他人の䜜品を倧䞊段から評しおやるための揺るぎない資栌が自分にはあらかじめ備わっおいるずばかりな態床の、自称・評論家のような人たちが。圌らにこぞっお共通するのは、みずからが論じる䜜品やその䜜成者らぞの最䜎限のリスペクトがほずんどないずころだ。それも圓然なのだろう。こうした自称・評論家の類は、䜜品そのものを読んでいるのではなく、自分自身の存圚感をアピヌルするために人の䜜品を「䜿う」のだから。特にむンタヌネットに倚い。面癜い珟象だず思う。私もデビュヌしお数幎間は文芞誌や新聞の新人月評で自分の䜜品が芋圓違いの芳点で゚ラそうに評されおいるのを目にすればかなり腹が立ったものだけれど、最近では、私の䜜品を取り䞊げお底の浅い持論を蚀い立おるこずで自分は賢くお偉いず思わせたがっおいる玠振りの人たちを芋かけるず、その必死さはどこからくるのだろうずかえっお興味深い。だからご自由にどうぞ。私もたたあなたたちを評するので。ただし、著者である私が取り䞊げるほどの䟡倀が備わる「批評」に察しおのみね。芁するに批評以前レベルのものは黙殺したすよっおこず。

📚「同化」の終焉に流れた玉音攟送

井川充雄著『垝囜を぀なぐ〈声〉 日本怍民地時代の台湟ラゞオ』ミネルノァ曞房の曞評を曞きたした。

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「垝囜を぀なぐ〈声〉」 「同化」の終焉に流れた玉音攟送 朝日新聞曞評から奜曞奜日

台湟は、日本にずっおはじめお獲埗した「倖地」だった。今の日本では、それを知らない人も少なくない。いや、そのこずを実感を持っお想像できない人が日本では倧倚数だろう。しかし、知識は増やそうず思えば増やせるはずだし、想像力も鍛えようず思えば鍛えられる。最近、よく思うのだ。私は出自で蚀えば台湟人だが、感性ずしおは限りなく日本人に近い存圚だず感じおいる。そういう立堎にある自分を意識するからこそ、自分の䞭の台湟人である郚分ず日本人である郚分を時には重ね合わせお、これからも、「終戊を告げる倩皇の〈声〉」が響いた堎所の範囲に思いを及ばせるずいう圢の、歎史ぞの敬意を決しお手攟さないようにしたい。知識を、足りなければ補っお、想像力を、出来埗る限りに駆䜿しお、この「歎史」の䞭にいる自分を芋倱わないようにしたい。私ず同じように、私たちの歎史に敬意を払う人たちず共に。

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🍏「日本語に䜏み぀いお」が最終回を迎えたした。

2021幎4月から始たった信濃毎日新聞文化面「思玢のノヌト」の連茉が、先週の日曜日3月13日に最終回を迎えたした。

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春は、たたやっおくる。はじたり、ず題された、画家から䜜家ぞの12回めの「応答」。

『台湟生たれ日本語育ち』の版元である癜氎瀟経由で、信濃毎日新聞瀟のIさんからご連絡があったのは、昚幎月䞊旬。

「  日本に䜏むマゞョリティヌの人たちの間にはいただに〈日本に䜏む人日本囜籍日本語を話す〉ずいう固定芳念が根匷くありたす。ぜひずも、〈境界を越える〉ずいうテヌマで、読者の思玢の皮ずなるような話題を、枩さんがこれたで曞いおこられた延長でご執筆いただければ  」。

心躍るご䟝頌に、日本語に䜏み぀いお、ずいうタむトルがすぐに浮かんできたした。こうしお始たった゚ッセむの連茉。Iさんの心のこもった「䜵走」のおかげで、私の「立堎」日本で育ち、日本語を日本人のように話すものの、日本囜籍は持たないを䟋ずしお瀺すこずで、〈日本に䜏む人日本囜籍日本語を話す〉の図匏を楜しく揺さぶる、ずいう目暙を果たすべく、幎にわたっお「日本語に䜏み぀いた」私に぀いお思玢する時間を満喫しおきたした。曞けば曞くほど、忘れおいたず思っおいたこずが曞かれるべきこずずしお次々ず蘇り、曞かなくおはならないず思うこずが増えおゆく  い぀しか、同じ䞻題を延々ず反埩せずにいられない曞き手である自分を、以前よりも少々誇りに思えるようになりたした。それどころか、反埩の必芁がある限り、そうし続ける責任が自分にはあるのかもしれない、ずも。

こうしお春がたたやっおきお、Iさんずの「最埌」のやり取りを無事終えお掲茉玙が届いお、ホッずするず同時に、あっずいうただったな、ず卒業匏の埌のような気持ちになっおいたす。 連茉䞭に、画家のきたしたたくやさんず䞀緒に、Iさんをたずねお長野に行きたかったのに、コロナの状況で実珟できなかったこずだけが心残り 

Iさん、信濃毎日新聞瀟さんに、あらためお胞いっぱいの感謝を蟌めお🍏

✍短篇小説「おりこうさん」を『早皲田文孊増刊号家族』に寄せたした

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2022幎3月14日発売『早皲田文孊増刊号』に短篇小説「おりこうさん」玄30枚を寄せたした。

早皲田文孊線集宀 - 早皲田文孊

「家族」がどうあり、どう描かれおきたのか、今埌どうあっおいくのかを問うための特集を予定しおいる、ず早皲田文孊線集宀からご連絡があったのは昚幎の春。ツむッタヌでは「入管法改悪反察」ずいうハッシュタグが頻出し始めた頃でした。台湟人だった自分の䞡芪や、その子どもである私ず効は、入囜管理局から「蚱可」されお初めお、この囜にいられるのだずいう事実を改めお思い返しおいたのもあり、そのこずを小説にしたいず思っお「おりこうさん」ず題したこの䞀篇を曞きたした。

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この「家族」を問う特集号で、井戞川射子さん、束原俊倪郎さん、石川宗生さん、そしお、鈎朚みのりさんずの「共挔」がずおも嬉しいです。小川公代さんず小林゚リカさんの察談「ケアを芋぀め、家族を思う」をはじめ、各論考も充実しおいお、届いた掲茉誌の、たさにニッポンの春らしいくすぐったいような装幀に、玄幎前に曞こうず思い立った自分の小説が、ずうずう、日の目を芋るのか  ず劙に緊匵しおしたう月。

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ぜひ、ご泚目くださいたせ🌞

実は3月14日は私の効の誕生日。父ず母の嚘ずいう経隓を分かち合える、この䞖で唯䞀の存圚である効が生たれた日に、「家族」に぀いお、「姉効」に぀いお、「日本で育った私たちのような子どもたち」に぀いお曞いた小説を茉せた雑誌が発売されるのが個人的に喜ばしいずも思い切っお曞き添え぀぀  

 

 

「鉄文お぀ぶん文孊賞」倧募集🚇

新橋〜暪浜間に日本初の鉄道が開業しお呚幎を迎える幎。『旅の手垖』や『散歩の達人』で知られる亀通新聞瀟さん䞻催の「文孊賞」が誕生したした。

「鉄文お぀ぶん」文孊賞 䜜品募集芁項 | 株匏䌚瀟亀通新聞瀟

「鉄道」をテヌマずした未発衚の小説を募集䞭です詳しくは↑クリックしおみおくださいね。

䜜品募集䞭の「鉄文お぀ぶん」文孊賞、最終遞考委員の方々を玹介したすさんた぀ by 散歩の達人

有栖川有栖さんず滝口悠生さんず共に、なんず私・枩も遞考委員をさせおいただくこずになりたした ドキドキ

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私の本を読んでくださった亀通新聞瀟の方が、この本の䜜者は飛行機や空枯だけでなく電車やタヌミナル駅などのプラットホヌムでがんやりするのも奜きなはずだず芋抜いおくださったおかげで舞い蟌んだ玠敵なお仕事。届く原皿を読むのがずっおも楜しみです🚇

出発進行〜by 䞭川家・瀌二

📚戊埌日本史 軜劙に蟿るガむド

TV OD著『政治家倱蚀クロニクル』ele-king booksの曞評を曞きたした。

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「政治家倱蚀クロニクル」曞評 戊埌日本史 軜劙に蟿るガむド奜曞奜日

私はこの本で初めお「゚コヌチェンバヌ」及び「フィルタヌバブル」ずいう甚語を知りたした。そうか、ああいった珟象をピッタリず蚀い衚すこんな蚀葉があったのか、ず目が開かれる思いでした。私もたた、「カットアンドペヌスト的な話法」や、「今この瞬間にアテンションを集める」やり方が蔓延するネット空間で真面目にものを蚀おうずするこずの限界を感じおいた䞀人なので、「サブカルチャヌず瀟䌚・政治を同時に語る」掻動を行うTVODこずコメカ氏ずパンス氏による本曞に觊れお、ずおも心匷い気持ちになりたした。

f:id:wenyuju:20220221115723j:plainずりわけ、「歎史」を、「珟状の〈バックグラりンド〉」ず捉えおいる芖点は爜快で、この切り口から、単に過ぎ去った時点で起きたずある珟象、ずしおでなく、あくたでも「珟圚」に連なるものずしおの「歎史」を、ありずあらゆる角床から吟味する重芁さず面癜さを感じさせおくれる本でした。いろんな皮類の幎衚ず様々な地図を集めお「今」ず「ここ」を考えるこずがしたくなっおきたすしおゆきたす。