2022年3月14日発売『早稲田文学増刊号』に短篇小説「おりこうさん」(約30枚)を寄せました。
「家族」がどうあり、どう描かれてきたのか、今後どうあっていくのかを問うための特集を予定している、と早稲田文学編集室からご連絡があったのは昨年の春。ツイッターでは「#入管法改悪反対」というハッシュタグが頻出し始めた頃でした。台湾人だった自分の両親や、その子どもである私と妹は、入国管理局から「許可」されて初めて、この国にいられるのだという事実を改めて思い返していたのもあり、そのことを小説にしたいと思って「おりこうさん」と題したこの一篇を書きました。
この「家族」を問う特集号で、井戸川射子さん、松原俊太郎さん、石川宗生さん、そして、鈴木みのりさんとの「共演」がとても嬉しいです。小川公代さんと小林エリカさんの対談「ケアを見つめ、家族を思う」をはじめ、各論考も充実していて、届いた掲載誌の、まさにニッポンの春らしいくすぐったいような装幀に、約1年前に書こうと思い立った自分の小説が、とうとう、日の目を見るのか……と妙に緊張してしまう3月。
ぜひ、ご注目くださいませ🌸
実は3月14日は私の妹の誕生日。父と母の娘という経験を分かち合える、この世で唯一の存在である妹が生まれた日に、「家族」について、「姉妹」について、「日本で育った私たちのような子どもたち」について書いた小説を載せた雑誌が発売されるのが個人的に喜ばしいとも思い切って書き添えつつ……