🕊温聲提示🕊

温又柔が、こんなことします、や、こんなこと書きました、とお知らせするためのブログ。

新連載「日本語に住みついて」はじまります。

この4月より1年間、信濃毎日新聞文化面「思索のノート」にてエッセイの連載はじまります。毎月第二日曜日が温の登場日です🌱

4月12日、第一回めが掲載されました。あちこちで書いたり喋ってきた内容ではありますが、今もたぶん、かつてのわたしのように、ことば(日本語)がおぼつかないまま学校や幼稚園で新しい生活を送ることになった子どもがひとしれず奮闘してるはずで、そんな立場に置かれた生徒や園児を、どう受け入れていいか悩む先生がたも多いのでは…と。そんな子どもの内面を想像する何かのヒントにしてもらえれば、と願った一篇です。

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装画はきたしまたくやさん!描いてくださった絵が一回めから嬉しくてたまらず、これからの一年、きたしまさんがわたしのエッセイにどんなふうに呼応してくださるのかすごく楽しみです。

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信濃毎日新聞を購買の皆々様、第二日曜日になったら、ぜひ会いましょう!これを機に、長野近郊におじゃましたい夢がもくもく膨らんでますが、まだまだコロナ禍なのでいまは必死でこらえつつ、収束を祈ります。

 

📚いい「先生」に巡り合えたら

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エリザベス・アセヴェド著、田中亜希子訳『詩人になりたいわたしX』(小学館)の書評を書きました。

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https://book.asahi.com/article/14283807

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「書くことは傷つくことから自分を守るためのたったひとつの方法のように思えることがある」。

いい「先生」に恵まれなくても、いい「本」はそこらじゅうにある。読み、書くための力を習得する機会が、どの子どもにもきちんと開かれるようにいつも祈ってる。なぜなら書くことは生きること。生きることは自由になること。自由とは自分自身の声をもつこと。その声の中に、自分以外のひとびとを住まわせる場所を確保すること。それを示すために書く大人でありたいとエリザベス・アセヴェドは私にも焚き付ける。

📚「家」をめぐる独自で多彩な世界

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楊翠著、魚住悦子訳『少数者は語る』(草風館)の書評を書きました。

https://book.asahi.com/article/14204339

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「補いたかったのは、まさに台湾学術史におけるこの欠落した部分であった」。

みずからを振り返り、自分自身の境遇のありようを探究しながら、〈台湾〉の境遇にも応えてゆくこと。台湾原住民女性文学研究者である著者の20年にわたる蓄積が、魚住悦子氏による日本語で読める幸せを噛み締めずにいられない。

わたしたちは、〈台湾〉を知らない。ほとんど何も知らない。

豊富な台湾原住民文学を翻訳し、日本語の読者へと橋渡ししてくださる魚住氏、下村作次郎氏らの長年の功績にあらためて敬愛をこめて。

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📚同情も激賞も招かぬ語り方とは

イギル・ボラ著、矢澤浩子訳『きらめく拍手の音 手で話す人々とともに生きる』の書評を書きました。

https://book.asahi.com/article/14146874

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昨年、グカ・ハン著、原正人訳『砂漠が街に入りこんだ日』に推薦文を書かせてもらったご縁でおつきあいがあったリトルモアのTさんがボラさんの本をつくってる最中に私の『魯肉飯のさえずり』を読み、おんさんにボラさんを会わせなくちゃ! と直感して、そのおかげで私は素晴らしい出会いに恵まれました✨🙌✨

⤵︎はMASHING UP に掲載された代官山蔦屋書店でのトークイベントのレポートです。

https://www.mashingup.jp/2021/02/228017.html

ボラさんと交わした言葉の、最も大切な部分を掬いあげて、見事に構成してくださった田邉愛理さんに拍手👏

私たちを迎えるために新年早々丁寧にイベントにむけてご準備くださった蔦屋書店のみなさま、通訳をご担当くださった御三方、そして会場に足を運んでくださった矢澤浩子さん、斉藤道雄さんにもこの場を借りてあらためて感謝を😚

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なお、後日、リトルモアさんのnoteには当日のイベントの全記録がアップ予定!どうかこちらも楽しみにしてくださいね!(わたしがいちばんうれしい)

ボラさん、만나서 반갑웠어요、또 만나요🧡

 

 

📻ラジオ深夜便に出演します📻

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1月24日(日)午前4時05分~
NHKラジオ第1 ラジオ深夜便 
▽明日へのことば「“ふつう”って何だろう」というテーマで、アナウンサーの鎌倉千秋さんとお喋りをします。

https://www4.nhk.or.jp/shinyabin/

深夜便に、出演できる日が来るなんて。

2018年秋、NHKラジオ文芸館で私の短篇小説「被写体の幸福」を朗読してくださった鎌倉千秋さんが、私に会いたいと仰ってくださったおかげです💛🧡

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音声はこちら→https://nico.ms/sm34058219?ref=other_cap_off

鎌倉さんとのご縁に多謝🧡❤️

収録は昨年12月に行われたのですが、鎌倉さんとはほぼ初対面だったにもかかわらず、さながら敬愛する従姉と再会したかのごとく、尽きないお喋りに夢中になって、現場のディレクターさんやスタッフの方々に温かく見守られながら、あっというまに時間が過ぎました。差し入れのお菓子がわたしの大好きなブルボンの詰め合わせなのも幸せでした。

「魯肉飯のさえずり」の一部分も、著者みずから朗読させてもらいました🍚

ご興味を抱いてくださる皆々様、どうぞご注目くださいませ。聞き逃し配信もあるので、朝4時に起きられないよ〜という方もどうかご安心ください😋

https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/corners.html

 

 

 

 

 

 

 

📚二つの母語持つ「孤児」への道標

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田尻芳樹、秦邦生〈編〉『カズオ・イシグロと日本 幽霊から戦争責任まで』(水声社)の書評を書きました。

https://book.asahi.com/article/14092239

同時期に刊行されたヴォイチェフ・ドゥロンク著『カズオ・イシグロ 失われたものへの再訪 記憶・トラウマ・ノスタルジア』に詳しく触れられませんでしたが、この本を翻訳なさった三村尚央さんによる「『わたしたちが孤児だったころ』における故郷(ホーム)への違和感(アンビバレンス)と失われた母語」は、『カズオ・イシグロと日本 幽霊から戦争責任まで』に収録された数々の刺激的な論文の中でも、私が個人的に最も興奮しながら拝読した一篇でした。

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私も引き続き、自分と日本の関係を問いながら、日本語で経験しなかった記憶を日本語で記述するという試みを楽しみたいと思わせてくれる2冊と出会えてうれしかったです。2021年も、書評を書きながら学んでゆきます。

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本と共に生き延びる📚

朝日新聞12月26日朝刊「本と共に生き延びる」にて「今年の3点』として、

アコーディオン弾きの息子(ベルナルド・アチャガ著、金子奈美訳、新潮社・3300円)
②優しい暴力の時代(チョン・イヒョン著、斎藤真理子訳、河出書房新社・2420円)
③ 荷を引く獣たち 動物の解放と障害者の解放(スナウラ・テイラー著、今津有梨訳、洛北出版・3080円)

を選ばせていただきました。

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https://book.asahi.com/article/14060682

4月に書評委員として着任以来、毎回、ほんとうに書きたくてたまらない本ばかり書かせてもらいました。白状すれば、書けるのなら書きたかったものの、私の読む速度と原稿をまとめる筆力がなかなか追いつかず、残念ながら書けずにいた本もけっこうあって、(新刊は刊行2ヶ月以内という制限が厳しくて…)、ほぞを噛んだことが何度も。派手に広告されてなくても、バーンっと平積みになってなくても、高い志のもと丁寧につくられた〈良い本〉はコツコツ刊行されてるんだなと実感、飛ぶようには売れなくても、少数の心ある読者を確実に勇気づける本を世におくりだす出版社さんや、著者や訳者の方々に敬服する機会も増えました。そのような良質な書物をもっと積極的に紹介してゆくためにも、筆力を研鑽せねば、と思ってます。

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2021年も書評委員、がんばります。小説も、もちろんよ♪