ジェニー・ザン著、小澤身和子訳『サワー・ハート』(河出書房新社)の書評を書きました。
https://book.asahi.com/article/14466211
「存在は無視するくせに、私たちのふりをする彼ら」。この一文に撃ち抜かれた瞬間から、ジェニー・ザンの小説を、願わくば、このエッセイに散る火花を含めて見事な日本語に翻訳なさった小澤身和子さん訳で読める日がやってくるのを楽しみにしていました。ついに!
「白人のことしか書いてない自分に気づいてない」白人の男たちを大いに嫉妬させ、自分はまるで「エイリアンみたいだ」と嘆きながら育つ少女たちを鼓舞した『サワー・ハート』が、いま、この日本でも、「安心できる場所、自分が描いている自分の像と他人からの扱われ方が一致している場所」に辿り着きたいと望みつつ、日々を必死に生き長らえているすべてのひとの目に届きますように。この小説は、あなたに読まれるのを待っている。